第7回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店 24ページ
第7回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店
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ウェストン君の議論は、抽象的なかたちに要約すかと、つぎのようになろう。需要の増大は
どれもつねに一定の生産額を土台にしておこるものである。
したがって需要の増大は、需要される品物の供給を増加さることはけっしてできず、ただその貨幣価格を高くさせることができるだけである、と。
ところで、ごくふつうの観察からもわかるように、需要の増加は、あるばあいには諸商品の市場価格をまったく変えないであろうし、また他のばあいには、市場価格の一時的上昇をひきおこし、つづいて供給の増加をもたらし、
その結果、価格をもとの水準まで、多くはもとの水準以下にまで下がらせるであろう。需要の増加が賃金の追加分から生じようと、あるいはべつのどんな原因から生じようと、問題の条件はすこしも変わらない。
ウェストン 君の観点からすれば、この一般的現象も、賃金の上昇という例外的な事情のもとでおこる現象と同様に説明しにくいものであった。
したがって彼の論証は、われわれのとりあつかっている主題とはなにもとくべつ関係のあるものではなかったのである。彼の論証は、ただ、需要の増加は供給の増加をひきおこすのであって、市場価格の終局的な騰貴をひきおこすものではないという法則を説明するのに、彼が当惑していることをあらわすものでしかなかった。
三 [貨金と通貨]
討論の二日目に、わがウェストン君は、彼のもとの主張に新しい形式をよそおわせた。
彼はこう言った。貨幣賃金が全般的に上昇すれば、その結果、まえと同じ賃金を払うためには、まえより多くの通貨が必要になるであろう。
通貨の流通額は不変なのに、どうして諸君は、この不変な通貨流通額で増加した貨幣賃金を払えるか? と。はじめは、困難は、労働者の貨幣賃金がふえたにもかかわらず、彼の手にはいる商品額は不変だということからおこったが、こんどの困難は、商品額は不変であるにもかかわらず、貨幣賃金がふえたということからおこる。
諸君がもし彼のはじめのドグマ 〔独断論〕をはねつけるなら、それにもとづく彼の苦情もむろんふっとんでしまう。
しかし私は、この通貨問題なるものが、われわれの当面の主題とはなんの関係もないという
ことを証明しよう。
諸君の国では、支払機構は、ヨーロッパのほかのどんな国よりもずっと完備している。銀行
制度の拡大と集中のおかげで、同額の価値を流通させたり、同額あるいはもっと大きな額の取引をしたりするのに必要な通貨は、ずっと少なくてすむ。
たとえば賃金をとってみると、イギリスの工場労働者は、自分の賃金を毎週小売商人に払い、小売商人はこれを毎週銀行におくり、銀行はこれを毎週工場主にかえし、工場主はふたたびこれを自分の労働者に払い出す、などなどのぐあいになっている。
こうしたしくみによって、ひとりの労働者の一年分の賃金たとえば
五二ポンドを払うのに、毎週同じ循環をくりかえすソヴリン貨「一ポンド金貨]一枚ですます
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