第8回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店 26ページ

 第8回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店

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 この機構は、イングランドにおいてさえ、スコットランドでみられるほどには完備していないし、またどこへいっても同じ程度に完備しているわけではない。


だから、たとえば一部の農業地域では、純工業地域にくらべてみると、ずっと少額の価値を流通させるのに、かえってずっと多量の通貨が必要とされている状態である。


イギリス海峡をこえると、諸君は、貨幣賃金〔ヨーロッパ大陸の】がイギリスよりもずっと低いこと、だがドイッ、イタリア、スイス、フランスでは、それを流通させるのにずっと多額の通貨がもちいられていることを知られるであろう。


同じソヴリン貨が、イギリスのばあいほどすばやく銀行の手にキャッチされたり、産業資本家の手にかえされたりはしないであろう。


したがって、ソヴリン貨一つが一年に五二ポンドを流通させるどころか、おそらくは二五ポンドの金額の一年の賃金を流通させるのにソヴリン貨三つが必要とされるであろう。


このように、大陸諸国とイギリスとをくらべてみると、低い貨幣賃金を流通させるのに、高い貨幣賃金を流通させるよりもずっと多量の通貨が必要なこともあること、またじつのところ、こんなことはわれわれの主題とはまったく無関係なたんなる技術的問題にすぎないことが、すぐにおわかりになるであろう。


私の知っているもっとも正確な計算によると、この国の労働者階級の年所得は二億五〇〇〇

万ポンドと見積もることができる。


この莫大な額を流通させるのにもちいられているのは約三00万ポンドである。賃金が五〇%上がると仮定してみよう。そうすると、三00万ポンドの通貨でなく四五0万ポンドの通貨が必要になるであろう。


労働者の日々の出費の非常に多くの部分は銀貨と銅貨で、すなわち、金にたいする相対的価値が不換紙幣のそれと同じく法律によって任意に決められているたんなる補助貨で払われるのだから、貨幣賃金が五〇%上昇したために必要になるソヴリン貨の追加流通額は、極端なばあいでも、せいぜいたとえば100万どまりであろう。


金地金または金貨のかたちで現在イングランド銀行や市中銀行の地下金庫にねている100万ポンドが流通させられるであろう。だが、この追加100万ポンドの鋳造や摩滅によって生じるあの微々たる出費すらはぐくことができるだろうし、また通貨の追加の必要によってなにか困難なことがおこってくるなら実際にはぶかれもするであろう。


諸君のどなたもご存じのとおり、この国の通貨は、大別して二部類に分かれている。

その一種は、各種の銀行券からなり、業者間の取引と、消費者から業者への大口支払にもちいられており、一方、もう一種の通貨である金属鋳貨は、小売取引に流通している。


この二種の通貨は性質を異にするものではあるが、代替しあってもちいられている。だから金貨は、大口支払のばあいでさえも、五ポンド未満のすべての端数の金額の支払用として非常にひろく流通している。


もしあすにも四ポンド券なり三ポンド券なり二ポンド券が発行されるならば、いまこれらの流通路をみたしている金貨は、たちどころにそこから追いだされて、貨幣賃金が増大したために金貨が必要になっている流通路に流れこむであろう。


こうして、賃金が五〇%上昇したために必要になる追加の一00万ポンドは、ただ一枚のソヴリン貨も追加せずに調達されるであろう。これと同じ効果はランカシャで長い間そうだったように、ただ1枚の銀行券も増発セずに手形の流通を増やすことも達成されるであろう。28ページ2行目



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