第11回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店の学習 32ページ
第11回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店の学習 32ページ 彼は、高い低いという卑俗な言いかたをなにか決まった意味をもつものとしてうけいれて満足したのである。 なぜ一定量の労働にたいして一定額の貨幣があたえられるのかを、彼は私に話すことはでき ないであろう。もし彼が私に答えて「それは需要と供給の法則によって決定される」と言うとすれば、まずもって私は彼にこう尋ねよう。需要供給そのものはどんな法則によって規制されるのか? と。 まったくのところ、そんな彼の答えはすぐさま一笑に付されるだろう。労働の需要と供給の関係はたえず変動にさらされ、それにつれて労働の市場価格もたえず変動にさらされる。 需要が供給をこえると賃金は上がり、供給が需要をこえると賃金は下がる。 もっとも、そういうばあいには、たとえばストライキなりなにかべっな方法なりで需要供給の実状をためしてみる必要があるかもしれない。 だが、もし諸君が需要供給は賃金を規制する法則であると認めるなら、賃上げを否認することは、児戯にひとしいことでもあれば、無益なことでもあろう。 というのは、諸君がたのみにする至上法則によると、賃金が周期的に上がることは、賃金 が周期的に下がることとまったく同じように、必然的で当然なことだからである。 もし諸君が需要供給は賃金を規制する法則であると認めないのであれば、私はもう一度質問をくりかえす。 なぜ一定量の労働に対して一定額の貨幣があたえられるのか? と。 しかし、ことをもっとひろく考えてみよう。もし諸君が、労働にせよほかのどんな商品にせ よ、それの価値は結局のところ需要供給によって決定されると思うとすれば、それはまったくのまちがいであろう。 需要供給は、市場価格の一時的な変動を規制するものでしかない。需要供給は、ある商品の市場価格がなぜその価値以上に上がったり価値以下に下がったりするかは明らかにするだろうが、この価値そのものを説明することはけっしてできない。 かりに需要と供給がつりあうもの、あるいは経済学者が言うように、相殺しあうものとしよう。 もちろん、これらのあい反する力がひとしくなるその瞬間に、これらの力はたがいに中和しあって、どちらの方向にもはたらかなくなる。 需要と供給がたがいにつりあい、したがって作用しなくなる瞬間には、ある商品の...