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第12回賃金・価格・利潤 カール・マルクス  横山雅彦訳 国民文庫=大月書店の学習 34ページ

  第12回賃金・価格・利潤 カール・マルクス  横山雅彦訳 国民文庫=大月書店の学習 34ページ ところをあげてもよい。私は諸君にこう言ってもよい。イギリスの工場労働者、鉱山労働者、造船工などは、その労働の価格は相対的に高いにもかかわらず、 彼らの生産物が安いために他のすべての国民との販売競争に勝ち、一方、たとえばイギリスの農業労働者は、その労働の価格は相対的に低いにもかかわらず、 彼の生産物が高いために、ほとんどすべての他国民との販売競争に負けている、と。同じ国の品物と品物をくらべ、ちがった国と国の商品をくらべることによって、いくつかの例外それは外見上のものであってほんとうの例外とはいえないー をのぞけば、平均して価格の高い労働は価格の安い商品を生産し、価格の低い労働は価格の高い商品を生産するものであることを明らかにしてもよい。 右のことは、もちろん、一方のばあいには労働の価格の高いことが、他方のばあいには労働の価格の安いことが、それぞれこれら正反対の結果[商品価格の安いことと高いこと】 の原因であることを証明するものではないであろうが、いずれにしても、諸商品の価格は労働の価格によって支配されるものではないということは証明するであろう。 だが こうした経験的な方法をとることは、われわれにはまったく不必要なことである。 ウェストン君は「諸商品の価格は賃金によって決定あるいは規制される」というドグマをと なえたことはない、と言う人がたぶんあるかもしれない。 じじつ、彼はこういう公式をたてたことは一度もない。むしろ逆に、彼はこう言った。利潤と地代も商品の価格の構成部分となっている。 というのは、労働者の賃金だけでなく、資本家の利潤と地主の地代もまた、まさに商品の価格のなかから支払われなければならないのだから、と。 だが、彼の考えによると、価格とはどのようにして形成されるのか? まず第一に賃金によってである。 そのあとその価格に、資本家のために何パーセントかが付加され、地主のためにさらに何パーセントかが付加される。 ある商品の生産につかわれる労働の賃金が10だと仮定してみよう。もし利潤率が前払い賃金の100%だとすれば、資本家は10%をつけくわえるであろうし、またもし地代の率も賃金の100%だとすれば、さらに10がっけくわえられることになり、この商品の総価格は3...

第11回賃金・価格・利潤 カール・マルクス  横山雅彦訳 国民文庫=大月書店の学習 32ページ

  第11回賃金・価格・利潤 カール・マルクス  横山雅彦訳 国民文庫=大月書店の学習 32ページ 彼は、高い低いという卑俗な言いかたをなにか決まった意味をもつものとしてうけいれて満足したのである。 なぜ一定量の労働にたいして一定額の貨幣があたえられるのかを、彼は私に話すことはでき ないであろう。もし彼が私に答えて「それは需要と供給の法則によって決定される」と言うとすれば、まずもって私は彼にこう尋ねよう。需要供給そのものはどんな法則によって規制されるのか? と。 まったくのところ、そんな彼の答えはすぐさま一笑に付されるだろう。労働の需要と供給の関係はたえず変動にさらされ、それにつれて労働の市場価格もたえず変動にさらされる。 需要が供給をこえると賃金は上がり、供給が需要をこえると賃金は下がる。 もっとも、そういうばあいには、たとえばストライキなりなにかべっな方法なりで需要供給の実状をためしてみる必要があるかもしれない。 だが、もし諸君が需要供給は賃金を規制する法則であると認めるなら、賃上げを否認することは、児戯にひとしいことでもあれば、無益なことでもあろう。 というのは、諸君がたのみにする至上法則によると、賃金が周期的に上がることは、賃金 が周期的に下がることとまったく同じように、必然的で当然なことだからである。 もし諸君が需要供給は賃金を規制する法則であると認めないのであれば、私はもう一度質問をくりかえす。 なぜ一定量の労働に対して一定額の貨幣があたえられるのか? と。 しかし、ことをもっとひろく考えてみよう。もし諸君が、労働にせよほかのどんな商品にせ よ、それの価値は結局のところ需要供給によって決定されると思うとすれば、それはまったくのまちがいであろう。 需要供給は、市場価格の一時的な変動を規制するものでしかない。需要供給は、ある商品の市場価格がなぜその価値以上に上がったり価値以下に下がったりするかは明らかにするだろうが、この価値そのものを説明することはけっしてできない。 かりに需要と供給がつりあうもの、あるいは経済学者が言うように、相殺しあうものとしよう。 もちろん、これらのあい反する力がひとしくなるその瞬間に、これらの力はたがいに中和しあって、どちらの方向にもはたらかなくなる。 需要と供給がたがいにつりあい、したがって作用しなくなる瞬間には、ある商品の...

第10回賃金・価格・利潤 カール・マルクス  横山雅彦訳 国民文庫=大月書店の学習 30ページ

  第10回賃金・価格・利潤 カール・マルクス  横山雅彦訳 国民文庫=大月書店の学習 30ページ 賃金のことはまったくべっにしても、また賃金は不変だと仮定しても、流通させられる 諸商品の価値と数量ならびに総じて決済される金銭取引の額は日々変動していること、 銀行券の発行高は日々変動していること、なんら貨幣の媒介なしに、手形、小切手、帳簿上の信用貸し、手形交換所のたすけをかりておこなわれる支払の額は日々変動していること、 現実の金属通貨が必要なばあいでも、流通している鋳貨と、銀行の地下金庫に準備してあったり、ねたりしている鋳貨および金地金との割合は、日々変動していること、 国内流通が吸収する金地金の額と、国際流通のために国外におくられる金地金の額とは、日々変動していること、 がわかったであろう。 彼には、通貨が不変量だとする自分のドグマが、日常の動きとあいいれない、とんでもない誤りだということがわかったであろう。 彼は、通貨の諸法則にかんする彼の誤った考えを賃上げ反対の証拠につかうかわりに、こんなにもたえず変化している諸事情に通貨が適応できるようにする諸法則を研究したことであろう。 四 ( 需要と供給) わがウェストン君は、反復は学問の母である repetitio est mater studiorum というラテ ン語の諺を信じきり、そのため彼は、自分のもとのドグマをまたもや新しいかたちでくりかえし、賃金引上げの結果生じる通貨の逼迫は資本の減少をまねくだろう、などと言っている。  通貨にかんする彼の奇妙な考えはもうかたづけたのだから、彼が通貨にかんして自分の想像にえがいた難関から生じると思いこんでいる想像上の諸結果にたちいることは、私はまったく無用なことだと考える。  私は、さっそく、彼があんなに多くのちがったかたちをとってくりかえしている、いの同じドグマをもつとも簡単な理論にまとめあげる仕事にとりかかろう。 彼の主題のとりあつかいかたがどんなに無批判的であるかは、ひとつだけ指摘すれば明らか になろう。彼は賃上げにたいして、または賃上げの結果としての高賃金にたいして、反対論をとなえる。 では、お聞きしよう。高賃金とはなにか、また低賃金とはなにか? と。 たとえばなぜ週五シリングでは低賃金となり、週二〇シリングでは高賃金となるのか? 五が...

第8回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店 26ページ

  第8回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店 26ページ  この機構は、イングランドにおいてさえ、スコットランドでみられるほどには完備していないし、またどこへいっても同じ程度に完備しているわけではない。 だから、たとえば一部の農業地域では、純工業地域にくらべてみると、ずっと少額の価値を流通させるのに、かえってずっと多量の通貨が必要とされている状態である。 イギリス海峡をこえると、諸君は、貨幣賃金〔ヨーロッパ大陸の】がイギリスよりもずっと低いこと、だがドイッ、イタリア、スイス、フランスでは、それを流通させるのにずっと多額の通貨がもちいられていることを知られるであろう。 同じソヴリン貨が、イギリスのばあいほどすばやく銀行の手にキャッチされたり、産業資本家の手にかえされたりはしないであろう。 したがって、ソヴリン貨一つが一年に五二ポンドを流通させるどころか、おそらくは二五ポンドの金額の一年の賃金を流通させるのにソヴリン貨三つが必要とされるであろう。 このように、大陸諸国とイギリスとをくらべてみると、低い貨幣賃金を流通させるのに、高い貨幣賃金を流通させるよりもずっと多量の通貨が必要なこともあること、またじつのところ、こんなことはわれわれの主題とはまったく無関係なたんなる技術的問題にすぎないことが、すぐにおわかりになるであろう。 私の知っているもっとも正確な計算によると、この国の労働者階級の年所得は二億五〇〇〇 万ポンドと見積もることができる。 この莫大な額を流通させるのにもちいられているのは約三00万ポンドである。賃金が五〇%上がると仮定してみよう。そうすると、三00万ポンドの通貨でなく四五0万ポンドの通貨が必要になるであろう。 労働者の日々の出費の非常に多くの部分は銀貨と銅貨で、すなわち、金にたいする相対的価値が不換紙幣のそれと同じく法律によって任意に決められているたんなる補助貨で払われるのだから、貨幣賃金が五〇%上昇したために必要になるソヴリン貨の追加流通額は、極端なばあいでも、せいぜいたとえば100万どまりであろう。 金地金または金貨のかたちで現在イングランド銀行や市中銀行の地下金庫にねている100万ポンドが流通させられるであろう。だが、この追加100万ポンドの鋳造や摩滅によって生じるあの微々たる出費すらはぐくことができるだろう...

第7回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店 24ページ

  第7回賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山雅彦訳 国民文庫=大月書店 24ページ ウェストン君の議論は、抽象的なかたちに要約すかと、つぎのようになろう。需要の増大は どれもつねに一定の生産額を土台にしておこるものである。 したがって需要の増大は、需要される品物の供給を増加さることはけっしてできず、ただその貨幣価格を高くさせることができるだけである、と。 ところで、ごくふつうの観察からもわかるように、需要の増加は、あるばあいには諸商品の市場価格をまったく変えないであろうし、また他のばあいには、市場価格の一時的上昇をひきおこし、つづいて供給の増加をもたらし、 その結果、価格をもとの水準まで、多くはもとの水準以下にまで下がらせるであろう。需要の増加が賃金の追加分から生じようと、あるいはべつのどんな原因から生じようと、問題の条件はすこしも変わらない。  ウェストン 君の観点からすれば、この一般的現象も、賃金の上昇という例外的な事情のもとでおこる現象と同様に説明しにくいものであった。 したがって彼の論証は、われわれのとりあつかっている主題とはなにもとくべつ関係のあるものではなかったのである。彼の論証は、ただ、需要の増加は供給の増加をひきおこすのであって、市場価格の終局的な騰貴をひきおこすものではないという法則を説明するのに、彼が当惑していることをあらわすものでしかなかった。 三 [貨金と通貨] 討論の二日目に、わがウェストン君は、彼のもとの主張に新しい形式をよそおわせた。 彼はこう言った。貨幣賃金が全般的に上昇すれば、その結果、まえと同じ賃金を払うためには、まえより多くの通貨が必要になるであろう。 通貨の流通額は不変なのに、どうして諸君は、この不変な通貨流通額で増加した貨幣賃金を払えるか? と。はじめは、困難は、労働者の貨幣賃金がふえたにもかかわらず、彼の手にはいる商品額は不変だということからおこったが、こんどの困難は、商品額は不変であるにもかかわらず、貨幣賃金がふえたということからおこる。 諸君がもし彼のはじめのドグマ 〔独断論〕をはねつけるなら、それにもとづく彼の苦情もむろんふっとんでしまう。 しかし私は、この通貨問題なるものが、われわれの当面の主題とはなんの関係もないという ことを証明しよう。 諸君の国では、支払機構は、ヨーロッパのほかのどんな...

第6回 賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山正彦訳 国民文庫=大月書店の学習 2[生産物、賃金、利潤]つづきとなります。22ページから

 第6回 賃金・価格・利潤 カール・マルクス 横山正彦訳 国民文庫=大月書店の学習 2[生産物、賃金、利潤]つづきとなります。22ページから スコットランドの各県によってたいへんな差があるので、貸金上昇が彼らに及ぼす影響もきわめて不同であった。 最後に、この賃金上昇がおこった時期には、ロシア戦争の結果かけられた新税や、農業労働 者の住宅の大量の破壊などのような、賃金上昇の効果をそぐいろいろな力がはたらいていた。 まえおきはこれくらいにして、一八四九年から一八五九年までのあいだにグレート・ブリテ ンの農業賃金の平均率がおおよそ四〇%上昇したことに話をすすめることにする。 私の主張を立証するたっぷり詳しいお話もできるのであるが、当面の目的のためには、私は諸君に、故ジョン・C・モートン君が一八六〇年にロンドン技芸協会でおこなった『農業でもちいられる諸力』にかんする良心的で批判的な報告を参照されるようにと言っておけば、それで十分だと思う。  モートン君は、スコットランドの一二の県とイングランドの三五の県に在住する約100 人の借地農業者から彼が収集した勘定書その他の信頼すべき文書から、この報告書を作成している。 わがウェストン 君の意見にしたがえば、また同じ時期に工場労働者の賃金が上がったこともあわせて考えると、一八四九年から一八五九年までの期間中に農産物価格の暴騰がおこったはずである。 だが事実はどうか? ロシア戦争と、一八五四年から一八五六年までの相つぐ不作にもかかわらず、イングランドの主要農産物である小麦の平均価格は、一八三八年から一八四八年までの一クォーターあたり約三ボンドから、一八四九年から一八五九年までの一クォータあたり約二ポンドー0シリングに下落した。 これは、農業賃金が平均四○%上がったのと時を同じくして、小麦価格が一六%以上も下がったことを示すものである。この同じ期間のうち、(5)そのはじめとおわり、つまり一八四九年と一八五九年をくらべてみると、公式の極貧者は九三万四四一九人から八六万○四七〇人に減少し、その差は七万三九四九人であった。 いかにもこれはほんのわずかな減少であり、それもその後の年々にはまたもみられなくなったものではあるが、それでもやはり減少にはちがいない。 穀物法が廃止された結果、外国穀物の輸入は、一八四九年から一八五九年までの期間に...

第5回 賃金・価格・利潤カール・マルクス 横山正彦訳 国民文庫=大月書店の学習  まえがき(生産物・賃金・利潤)20ページから

  第5回 賃金・価格・利潤カール・マルクス 横山正彦訳 国民文庫=大月書店の学習  まえがき(生産物・賃金・利潤)20ページから 一八六二年、マンチェスターでの科学振興協会の会合で、ニューマン君が、彼もユーア博士もシーニアも、経済学のその他すべての御用代表者たちもまちがっていて、人民の本能のほうが正しかったと告白するのを、私自身が聞いている。私が、フランシス・ニューマン教授でなくてW・ニューマン君の名をあげるのは、彼が、トマス・トゥック君の『物価史』(15)|一七九三年から一八五六年までの物価の歴史を調べあげているあのりっぱな著書ーの協力者かつ共編者として、経済学上高い地位をしめているからである。 賃金額も不変、生産額も不変、労働の生産力の程度も不変、資本家の意志も恒久不変、その他なにもかも不変でもう動かせないものであるというわがウェストン君の固定観念がもし正しいとすれば、シーニア教授の不吉な予言が正しかったことになり、そしてすでに一八一六年に労働日の全般的制限こそが労働者階級の解放を準備する第一歩であると宣言して、一般の偏見をものともせずにニューラナークの自分の紡績工場で独力で実際にこれをやりだしたロバート・オーエンがまちがっていたことになろう。 10時間法が施行され、その結果賃金の上昇がおこったちょうど同じ時期に、グレート ・ブリテンでは、ここで列挙するのは場ちがいになるようないろいろな理由から、農業賃金の全般的上昇がおこった。 私の当面の目的には必要ないことだが、諸君の誤解を避けるために、いくつかのまえおきを 述べることにする。 ある人が一週につきニシリングの賃金をもらっていたとしても、彼の賃金がもしも四シリン . グに上がったとすれば、賃金率は100%上がったことになるであろう。 一週につき四シリング という現実の賃金額はやはりお話にならないほどみみっちい一種の飢餓手当であることにかわりはないのに、もし賃金率の上昇として言いあらわせばこれはたいへんすばらしいことのようにみえるであろう。 だから諸君は、聞こえのいい賃金率のパーセントに心を奪われてはならない。諸君はつねにこう尋ねるべきである。 もとの額はいくらだったのか? と。さらに、わかりきったことだが、一週につきそれぞれ二シリングもらう者が10人、それぞれ五シリングもらう者が五人、それぞれ一一シリ...